この記事の内容
- 「限界効用逓減の法則」の定義と具体例
- 「限界効用逓減の法則」について、日常生活で意識すべきこと
こんにちは。Dr. NAOKI(@urarikei_career)です。
突然ですが、想像してみてください。
夏の暑い日、ジムや温泉でひと汗かいて喉がカラカラの状態になっています。
そんな時に飲む1杯目のビールは、最高に美味しいはずです。
(未成年の方は、ポカリを想像しましょう)
2杯目は、1杯目と同じとまでは言えないかもしれませんが、それでも美味しいでしょう。
3杯目も、2杯目と同じとまでは言えないかもしれませんが、まあまあ美味しいでしょう。
4杯目は、うーん、あれ?(以下、無限ループ)
この辺りにくると、もはや1杯目の感動を味わうことは難しくなっていると思います。
いくらビールが好きでお酒に強い人でも、5杯目あたりになってくると、もはや惰性で飲んでしまっているのではないでしょうか?
このように、ビール1杯あたりの効用(満足度)は、飲む量が増えるにしたがって、低くなっていってしまいます。
これを “限界効用逓減の法則” と言います。
限界効用逓減の法則とは
“限界効用逓減の法則” は、心理学や経済学の分野でよく用いられる専門用語です。
“限界効用逓減” は、 “げんかいこうようていげん” と読みます。
英語で言うと… Law of Diminishing Marginal Utility
別名、“ゴッセンの第1法則” とも言いますが、“限界効用逓減の法則” という名称の方が、ビールの例を考えた時には理解しやすいですよね。
辞書的には、以下のように説明されています。
ある財の消費量の増加に伴って、限界効用はしだいに減少するという法則。効用逓減の法則。
出典:デジタル大辞泉|小学館
財1単位の増加から得られる効用すなわち限界効用は、その財の保有量(消費量)が増加するに伴って低下していくという法則。
たとえば2台目の自動車から得る限界効用は1台目の自動車から得るものより小さい。オーストリア学派によって確立された法則。
最初に注目した H. H.ゴッセンの名にちなんで「ゴッセンの第一法則」と呼ばれる。
出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典|ブリタニカ・ジャパン
文章にするとやや堅苦しいですが、下の関連リンク先のグラフを見ても分かる通り、ビールの飲む量が増えるにしたがって、“満足度” がどんどんと失われてく様子が直感的に理解することができます。
参考(外部リンク)
- 『ど素人でもわかる経済学の本』から限界効用やゲーム理論を解説|SE Book
“逓減” はあまり聞きなれない言葉で、減るのであれば “低減” で良いのでは?と思われるかもしれませんが、“逓減” と “低減” の意味には明確な違いがあります。
- 逓減:しだいに減っていくこと
- 低減:減ること
このように、“逓減” には時間の概念があり、時間経過とともにしだいに減っていく様を表しています。
英訳の “Diminishing” (減少している)という単語が、それを物語っています。
なお、逓減の反対語の ”逓増” は、しだいに増えていくことを意味します。
“喉が渇いた時のビール” がこの法則を説明する上では分かりやすい例ですが、1杯目のビールの美味しさがわからない場合は、“空腹時のおにぎり” で考えると分かりやすいです。
また、食欲に関してだけではなく、ビジネスや恋愛においても、この法則は当てはまると言えます。
交際し始めの時はお互いの気持ちが高揚して、高い効用が得られていますが、次第にその気持ちは薄れていく…という感じです。
日常生活で意識すべきこと
ここで、ビールの例に戻って、ちょっと考えてみてください。
最高に美味しかった1杯目も、惰性で飲んでる5杯目も、満足度が違うのに同じ値段です。
ビールを提供するお店側からしてみたら、商品として同じものを提供しているので、同じ金額で売るのは当然でしょう。
しかし、ビールを注文する消費者側からしてみたら、1杯目のビールと5杯目のビールでは得られる満足度が低くなっているのにもかかわらず、同じ金額を支払わなくてはなりません。
でも私の満足度って、アルコールの摂取量に比例するんですよね。
「“1杯目の美味しさ” から得られる満足度」の話してるの分かってる!?
以上のように、ある種の繰り返し行われる支出活動において、「それから継続的に得られる満足度が、果たして金額に見合っているかどうか」というのは、常に意識しておかなければならないことです。
タワマンに引っ越した満足度、新築住宅に住む満足度・・・果たして何か月続くのでしょうか?
無駄な消費・浪費にならないよう心掛けながら、経済活動を営んでいきましょう。