こんにちは。Dr. NAOKI(@urarikei_career)です。
主婦や1人暮らしを経験したことのある方など、冷蔵庫を管理する立場のある方は、このような経験がないでしょうか?
冷蔵庫、そろそろ買い替えようかな。
使い切らないと思うけど、余裕を持って少し大きめのものにしよう。
これだけのスペースがあれば当分埋まることはなさそう!
数週間後・・・
いつの間にかいっぱいになってしまった。。。
これは、冷蔵庫のスペース的な “余裕” を感じることで、その余裕を使い切ろうとしてしまう心理によるものです。
これを “パーキンソンの法則” と言います。
パーキンソンの法則とは
パーキンソンの法則は、1958年に、英国の政治・歴史学者であるシリル・ノースコート・パーキンソン(1909-1993)の著作『パーキンソンの法則:進歩の追求』の中で提唱された法則です。
英語で言うと、そのままですが… Parkinson’s law
パーキンソンの法則には、“第一法則” と “第二法則” があり、それぞれ以下のように定義されています。
- 第一法則:仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。
- 第二法則:支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。
これら、「~まで膨張する」というのがミソです。
第一法則の “仕事”、第二法則の “支出” という言葉から分かる通り、ビジネスや経済において、よく適用される法則です。
要するに、「時間やお金に、まだ使えるだけの “余裕” を感じちゃうと、上限いっぱい使ってしまうよね」という法則です。
第一法則と第二法則、それぞれについて、例を挙げてわかりやすく説明していきます。
第一法則
パーキンソンの第一法則
仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する。
引用元:パーキンソンの法則|Wikipedia
これは期限にまだ “余裕” があると認識してしまうことで生じる気の緩みです。
いくつかの例を見ていきましょう。
例1. 会議の時間設定
よく使われる例としては、“会議” の時間設定です。
1時間で終わるような会議でも、念のために前もって2時間確保しておくと、2時間めいっぱい使ってしまう、というような状態です。
「まだ会議に時間を使える」という心の余裕が招いてしまう結果ですね。
例2. 残業などの労働時間
また、“残業” に当てはめてみてもわかりやすいですが、労働時間に余裕があると思うことで、ダラダラと仕事をしてしまい、自分の許す限りの時間を仕事に費やして、結局残業時間が膨張することになります。
長く仕事をしたからと言って、生産性はあまり上がっていないのでは?(心の声)俺なら定時で帰ってもおたくの倍以上に生産性が高い自信があるけどね
例3. 書類の提出期限
提出物の期限がまだ残っていると思うと、期限ギリギリまで先延ばししてしまうというのも、この法則に当てはまります。
分かりやすい例は、“レポート” や ”夏休みの宿題” !
自分もギリギリ派ですw
第二法則
パーキンソンの第二法則
支出の額は、収入の額に達するまで膨張する。
引用元:パーキンソンの法則|Wikipedia
これも基本的には第一法則と同様で、“お金” に使える “余裕” があると思うから、使えるだけ使ってしまうという心理状態です。
例えば、
- 収入が2万円増えたら、その2万円は何かの支出になっていませんでしょうか?
- 冷蔵庫の例のように、商品カートにあとどれだけ入るかわかってしまうと、それを使い切ろうとしていませんでしょうか?
人間の消費活動に対する欲は、一定レベルに達するまで際限なく膨張していきます。
ここでは、月給23万円のAさんを例に、具体的に考えて深堀して行ってみましょう。
例. 月給23万円のAさん
Aさんは、「あと2万円増えたら生活が楽になるのに」と感じているとします。
そして、実際に月給25万円になりました。
ところがしばらく経つと、またAさんは「もう2万円増えたら生活が楽になるのに」と感じるようになります。
そして月給27万円になってしばらく経つと…(以下省略)
つまり、収入の分だけ支出が膨張してまうというパーキンソンの第二法則に見事に陥ってしまいます。
そして、サラリーマンを同じように続けている限り、いくら収入が増えても「生活が楽になった」という気持ちに満たされることは、おそらく今後も無いでしょう。
(余談)宝くじの高額当選
宝くじの高額当選者の多くが破産の一途を辿るというのは、お金の正しい管理・運用の方法を知らないため、通帳に刻まれたその数字を冷静に判断することができないからです。
一度きりの人生です。
あなたなら、高額な当選金額をそのまま口座に置いておきますか?
きっとそういう心理状態にはなりません。
「せっかく当たったのだから」と使い切らずにはいられなくなります(パーキンソンの法則)。
そして、数字の “余裕” が無くなってくると、今度は “恐怖” が襲ってきます。
高額な支出に慣れた生活レベルは、簡単に下げられません。
“生活が惨めになる” 恐怖と “通帳の残高が減っていく” 恐怖のダブルパンチです。
きっとAさんが高額当選者になったところで、マイホームやマイカーの購入、借入金の返済などに充ててしまうのではないでしょうか。
そうすると、どうなるでしょうか?
支出によって通帳の残高が減っていきます。
マイホームやマイカーの資産価値も下がり続けるだけでなく、固定資産税という形でさらにお金が手元から離れていきます。
さらには、購入時に一度味わったあの満足感に満たされたいと、より資産価値の高いものを手に入れたくなります(→ 限界効用逓減の法則)。
そうなるとあとは、時間経過とともに残高が減っていく恐怖と、欲しいものが手に入らないという欲求不満に支配されていくだけです。
(余談)お金の使い方に対する洗脳
我々は普段、テレビなどによって偏った “人生の成功者” のイメージを植え付けられています。
高級住宅…高級車…ブランド物…それは全て見せかけのもので、成功の本質ではありません。
それを実現させたくなるよう、メディアに教育され、夢見させられているのです。
仮に実現させたとしても、そこから得られるのは、“満足感” であり “幸福感” ではありません。
一方、冷静な判断ができる人であれば、「運用しよう」と思うかもしれません。
ところが、実績ある投資家でもない限り、多くの人は資産運用の正しい方法を知らないのです。
“高額当選者” と聞きつけた銀行・証券会社の甘い誘惑に惑わされてカモにされる可能性が高いです。
(余談)お金の使い方に対する投資家の考え
では、投資家ならどうするでしょうか?
その当選金からさらにお金を生む仕組みを構築するはずです。
または、寄附でしょうか。
投資家でない人は「お金を増やし続けてどうするんだ?」と思うかもしれません。
(メディアに出ないような)健全な投資家であれば、「社会貢献になるから」と答えるでしょう。
多くの投資家や経営者は、“お金の正しい使い道” を知っています
だからお金が回ってくるのです。
ただ私腹を肥やしたいという人のところに、清浄なお金が回ってくるでしょうか?
手元から離れる運命にあるお金なら回ってくるでしょう。
投資家は宝くじに当たることなど、どうでもよければ期待もしてないでしょうし、お金の流れに対する哲学があるため、そもそも宝くじは買わないのではないでしょうか。
(余談)日本のマネー教育
日本の学校教育では、お金に関する授業がなく、家庭でも正しい知識を教えられることはほとんどありません。
つまり多くの人は、メディアからお金のイメージを教育されます。
社会や家庭において、お金の話はタブー視されています。
資本主義社会において、「お金の教育がおろそかにされること」がどれほど恐ろしいことか
余談が長くなりましたが、以上の話は “支出” の心理を理解する上で極めて重要なポイントです。
そして、パーキンソンの法則の本質を理解することは、支出をコントロールすることに繋がります。
お金の哲学・美学・科学・力学を学ぶことによってマネーリテラシーを向上させ、お金の心理的支配から免れましょう。
それが、“経済的自由” の本質ではないでしょうか。
その本質とはすなわち、数的自由ではなく、心理的自由なのです。
まとめ
パーキンソンの法則は “余裕” に由来する心理であることが、お分かりいただけましたでしょうか。
対策としては、パーキンソンの法則に当てはまるような心理状態になってないか見極めて、物理的な “余裕” から生じる気持ちの緩みを引き締めることです。
例えば、仕事(第一法則)においては、「会議が短くなるように工夫するとともに、時間設定を短くしておく」と、“余裕” ではいられなくなりますよね。
そして、お金(第二法則)に関しては、マネーリテラシーを向上させるための研鑽を積みましょう。
これまで感じていた心の緩みとも言うべき “余裕” が 、何かしらの新たな価値を生む “お宝” へと認識が変わるはずです。
我慢して無理にストレスをかける必要はありません。
重要なことは、この法則の本質を理解した上で、ダラダラと時間をかけたり無駄なお金を費やしたりしないよう、日常生活を過ごすということです。